3月のよく晴れた日曜日。
この日は床や壊れた土間の改修工事でした。
70年も前に建てられたこの会館は、足元がもうぼろぼろ。
コンクリートの土間は崩れ、
あちこちの床は抜け落ちて本当に危険な状態です。
まずは
土間を砕き、床をはがしていく作業から開始。
当時の面影を残すため、床板などは再利用することに決め、
割らない様に慎重に1枚1枚を優しくはいでいきました。
剥いだ板は大きさや傷み具合を見て選別し廊下に粛々と積み上げていきます。
今回手伝いに入ってくれた友人メンバーは皆精鋭揃い。
普段から職人として手や体や頭を使う彼らは、
ほぼ会話を交わすことなくお互いの動きを観察し
今、相手が何を必要とし、何をするべきか、
を瞬時に判断し行動するような人ばかりでしびれてしまいます。
あまりにもみんなカッコいいのです。
1日中叫んだりしりもちをついたり慌てたり、
と、どたばたしっぱなしの私はなんと役に立たないものかと
愕然とするばかりでした。
床を剥がし、腐った根太を外してまっさらになったその場所に
今度はしっかりとした束を立て
大引を渡し
根太を細かく張り巡らせてゆきます。
人がたくさん乗っても大丈夫なようにぎゅうっと詰まった根太。
職人愛を感じるなあ。
その眼差しは真剣そのものです。
土間部分も同様にまずはぼろぼろの部分を壊しまっさらにし、
どんなに人が乗っても大丈夫なように砕石を入れワイヤーを張り巡らし、下地を作ります。
かつては人々を支えていた床
ぼろぼろになり壊れていくもの。
でもそこに新しい力が加わることで
本来の美しい面影を残しつつ再生していく。
70年前に作られた建物を
建てられた当時は存在すらなかったわれわれが直してゆく
不思議。
当時の職人技を学びながら直し
新しく再生させていく作業は
人生の先輩方との会話のようで
とても心地のよいものでした。
お昼は女性陣手作りの贅沢ランチに舌鼓を打ち
和やかにその日は床はりと土間補修、床はがしが終了。
様々な職人たちの仕事に感動し
どきどきした1日でした。
その日
床下から出てきた綺麗な水色の吹きガラスの瓶を拾い上げ
春一番に飛び出したふきのとうをいけて
新しく床がはられた部屋の窓辺に飾りました。
春のにおいと優しい光に包まれた
生まれ変わっていくこだま会館。
「床板が鳴るように、大工さんはわざと釘を口に含んで錆びさせるんだよ」
そう教えてもらって張ったこの床が
小さく ギィッ と軋む音を楽しみながら
にやにやと何度も足踏みしてしまいました。
はやくみんなに見てもらいたいです。
しばたうつぎ
photo by
伊藤靖史(ペグワークス)
高橋 希
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